佐藤散る! 2010/5/30「its showtime」試合感想その1

 デジタル放送の録画って、なんか不便だな〜。なかなか使いこなせない……。
 そんなわけで、今回はアナログ放送を録画。


 バダは、佐藤は、キシェンコは、いかなる戦いを演じたのか?
 まあなんとなくつまみ食い的に、簡単に。




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グーカン・サキ(トルコ) vs メルヴィン・マヌーフ(オランダ)

 おお、サキちょっと絞ったか。動きが軽い。マヌーフの出入りにもやすやすと距離を合わせ、ローキックを打ち込む。ブロックもがっちり固めて良く見てるな。マヌーフとやると、さっさとローキックを効かせようと無理し過ぎて距離間違える……というパターンが多いのだが、サキは慎重でありながら自信に溢れてるな。逆にマヌーフの方がカウンターを警戒しすぎか。
 じわじわローを当てるサキに対し、飛び込んでフックをふるうマヌーフ。しかし有効打はなし。2ラウンド、サキのハイキックがガードの上から当たったのが効いてしまい、へなへなと崩れてしまう。う〜ん、こりゃ相当打たれ弱くなってないか? そうは言っても目立ったKO負けは、最近は京太郎とロビー・ローラーに喫したぐらいなのだが、上の階級の選手に倒されないまでも打たれたダメージは蓄積しているのか。

 サキは完勝で好発進。


ダニエル・ギタルーマニア) vs アーシュイン・バルラック(スリナム

 怪我から復帰のギタが、くせ者を迎え撃つ。
 序盤、ローを綺麗に当てたギタが主導権……だったんだが、2ラウンドから前に出たバルラックが、距離を縮めて我慢してしまうように。ギタも顔面に強打をもらうようなことはないのだが、結構打たせてしまうから、相手がまだいけると思ってしまうのだね。もっと上を出してからロー、ローを出してフックと、いささか散らしが足りなかった印象。
 しかしバルラックは凄い根性だ。圧力でギタの間合いを潰し切り、コンビネーションでポイントを奪って勝利。ギタはローばかりになってしまってるかなあ。これだけ身体と精神が強い選手だと、いくら強烈でも来るのがわかってるダメージには耐えられてしまう。もう少し虚を突いて当てるか、コントロールして集中砲火するか……簡単ではないけど。


シャバル”チンギスハン”アスケロフ(UAE) vs ウィリアム・ディエンダー(オランダ)
ドラゴ(アルメニア) vs リーロイ・ケスナー(オランダ)
シャヒッド(モロッコ) vs モハメド・カマル(モロッコ)

 少々乱暴だが、三本まとめて。
 いや〜、いかにも「いい試合」だった、と評されそうなどつき合いだったが、オレ、あんまりこういう試合は好きじゃないのだよね。こんだけフルショットのコンビネーションを打ち合って、それなりにヒットもしてるのにお互い倒れないと、かえってフラストレーションが溜まる。受け返し的と言うか、交互に攻撃し合ってるから、強打も我慢出来てしまう。逆に言うと、相手をコントロールするだけの技術もなく、かといってガードぶち抜いて圧倒したりもできない。カウンターを取ることもないし、おたがいのタフさを比べ合う根性勝負のようになってしまっている。ブロック主体のディフェンスの弊害だな〜。悪くないけど、こういう試合ばっかでも飽きるんだよ。

 そんな中、カマルは技術的にはちょっと上だったと思うんだが、体格差もあって有効打が生きず。これもこの体格差でブロックの上からどつき合う根性勝負に挑む事自体に、疑問を感じてしまうわけで……。
 そんな中、延長でボディへの膝でついに一点突破に成功したアスケロフは良かった。逆にディエンダーはその突破を狙ったローが通用せず。


佐藤嘉洋(日本) vs パジョンスック(タイ)

 ローを蹴ろうとする佐藤なのだが、まったく当たらない。組むと簡単に崩され、パンチはことごとく空を切る。そして、リーチ差もまったくないかのように飛び込んで左右のパンチを当ててくるパジョンスック、当てる、組む、回る、蹴る、離れるの動作が流れるようだ。スイッチから上下左右に散らし、佐藤を翻弄する。
 佐藤も前蹴りで前進を阻まれながらも詰めるのだが、気がつけばもう懐か圏外か……まるで捕まえられない。軽いながらも顔面とボディにパンチを合わせられ、一瞬動きを止められる場面も。

 パジョンスックは投げやローブローのアピールなども老獪にやってきて、佐藤の苛つきを誘うかのようだ。クリンチの多用も嫌らしい。しかしこの大会のルールでは、これぐらいのつかみは全く問題ないということなのか。口頭でノークリンチとの指示は出るが、注意の出る様子もない。
 佐藤は単発のヒットしか奪えず、いいとこなし。1ラウンドでローをことごとく空振り、あるいはカットされて、パンチを多用したものの全て見切られた。3ラウンド目は焦って後頭部まで叩き、キャリアの浅い選手のごとくヘッドハンターになってしまった。

 んん〜、打ち合い重視で外国人、タイ人に至るまで正面からの勝負を求めてきたK-1のスタイルだが、佐藤もそれに慣れ切ってしまっていたか。打ち合ってくる相手に対抗するためにフィジカルを磨き続けて来た佐藤だが、こういう相手とやるのは本当にひさしぶりだ。もちろん、自らこのリングを選んだのだから言い訳にはならない。平然といなしてくるパジョンスックを捕まえられず、技術差を見せつけられた。K-1の基準なら、大きなダメージはなくあるいはドローだろうが、この舞台では屈辱的完敗だ。
 クリンチしたパジョンスックが、ブレイクかかるとすぐに離れるのが印象的。効いてて凌ぐためにしがみついてるなら、未練がましくくっついて時間稼ぎするものだが、「いつでも組める」とばかりに平然と離れてしまう。佐藤はそれに対処もできず、試合中に完全に舐められていたわけだ。

 いや〜、当初のカードでは、サワーVSパジョンスックだったのだよね? 言ってしまえば、パジョンスックのこのインサイドワークとテクニックを、捕まえて潰せるとしたらサワーだ、という意図で組まれたのではないか。サワー欠場で、あるいはそれが可能なのでは、と白羽の矢が立ったのが佐藤嘉洋。だが、結果は見事に振り切られた。もし、サワーがこのパジョンスックを圧力で捕まえてポイントを奪うだけの強さがあるとしたら、それはK-1ルールにおいてもサワーが佐藤より上だという事に他ならない。
 本当に強くて上手くて速ければ、このルールでも勝てたはずだ。ペトロシアン、サワー、クラウス、キシェンコ、ドラゴ……K-1だけでも、これだけの倒さねばならない相手、借りを返さなければならない相手が揃ってしまっている佐藤。今回の敗北で、完全に世界の二番手グループに留まることになるかもしれない。

 長い……CSでこれがダラダラと延々見られるんだから、ある意味最高だね。
 続きはまた明日以降。


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