変わっていく「K-1 WORLD MAX」

 GBRより。70キロの開幕戦は、2大会に分割。

http://gbring.com/sokuho/news/2010_03/0328_k-1max_03.htm

 日本人三選手のみ国内、他の選手が海外の大会で……。

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 いや〜、これはちょっとビックリというか……。あまりに露骨。視聴率の取れない外国人選手は、テレビ放送しないから海外でやってろという……。あの推薦枠だらけのズンドコトーナメントを連発した『HEROS』でさえ、ここまでの事をしたことはないよ(笑)。

 7月大会は、63キロ級の決勝トーナメントもやるということで、70キロの日本人選手達は、要は保険なわけだ。63キロが盛り上がらず大コケした場合の、最低限の視聴率を取るための……。これはこれで相当バカにされた話だね……。

 一回、日本人選手もアウェーのヨーロッパで試合やってみるというのは、いい話だと思ったんだがなあ。ヨーロッパ、アジアの強豪を招聘して格好だけでも世界標準を保っていたものが、物凄い勢いでローカル化していく印象がある。世界一を決める舞台ではなく、単に日本でやってるイベントに過ぎないものに……。それに、ヨーロッパ大会でペトロシアンやサワー、ブアカーオが出る、容赦なく強豪とぶつかるとして……それってIts showtimeと何が違うの……?

 日本発、日本人による、世界のイベント。小さな島国から始まったものが、やがて世界を席巻する……そういう舞台であるはずでしょう、K-1は。その最終目的地として日本国内にも、世界の強豪をどんどん招き、世界一の戦いを日本で実現する。ところが、もはや「K-1 WORLD MAX」の歴史が生んだ四人の王者、クラウス、ブアカーオ、サワー、ペトロシアンでさえお呼びではなく、日本国内で視聴率を稼ぐことに汲々とするあまり、大会の枠組みさえ崩してしまった。

 ま、どっちもPPVがあるなら、それでいいよ……と、まあ一昔前のPオタのようなことを言ってる自分が、なんか不吉だ(笑)。同じPPVやってるはずのDREAMファンは、落ち着いた様子もなく深夜帯の視聴率に一喜一憂している。地上波がなくなればイベント自体がなくなって、PPVもなくなるのだろう。

 まだ分割しただけ……ファイナル16に世界の強豪が揃う事に変わりはないし、決勝は日本でやるんだから………。そう、とりあえず今年はね……。しかし、誰が何のために見てるのかもよくわからない視聴率という数字のために、「K-1 WORLD MAX」の風景はあっさりと変わろうとしている。来年も、また変わらないと言う保証はない。人気者の日本人を空気読まずにKOもしくは完封する外国人なんて必要ない、日本人同士でがしがしやり合った方が視聴率も取れるし安く上がる……しようがありません、それが現実ですから……。そんな論理が横行することだろう。

 世界と戦える魔裟斗がいなくなった途端に、これだ。TBSの手の平返しだ……。

 いや……本当にそうなのだろうか?

 我々は何か勘違いをしていたのかも知れない。数字の取れる魔裟斗が去ったことで、TBSが平然と「K-1 WORLD MAX」の本来あるべき「世界への挑戦」という構図を歪めにきた……さっきまで、僕はそういう捉え方をしていた。だが、逆だったのではないだろうか。魔裟斗のために、TBSが敢えて「世界への挑戦」という形を守っていたのではないか?

 他ならぬ魔裟斗こそが、「視聴率の取れるスター様」が、自らの名誉のために「VS世界」を希求し、TBSはそれに乗っかっただけではなかったのか。もし、魔裟斗が本来の半分も競技志向でなく、テレビ向けのKOショーで自分の強さを誇示する事が目的のような男だったらば、もう遥か昔に「K-1 WORLD MAX」はK-1ではない別の何かに変わっていたのではないか。サワーもブアカーオもペトロシアンも、おそらくは佐藤も日の目を見る事はなかっただろう。谷川Pが、「魔裟斗に唯一足りないのはプロレス心だ」と言ったことがあった。足りなくて幸いだった。もしあれば、魔裟斗劇場はもっともっと露骨な形で展開されていただろう。そう、ボクシングを冒涜しながら今も続いている、あの亀親子劇場のように……。

 「K-1 WORLD MAX」は、魔裟斗の存在があってこそ……。誰もが耳にした言葉だろう。だが、魔裟斗が去った今、これからその本当の意味が明らかになるような気がする。

 長島自演乙は、優勝のマイクでこう言った。

「MAXはなくなりません!」

 そう、MAXはなくならないかも知れない。だが、変わってしまうのだ。「K-1 WORLD MAX」という名前でありながら、「K-1 WORLD MAX」ではない何かに変わってしまうのだ。そうしてこれからも生き続けるのだ。僕にはそれが恐ろしい。なくなってしまう事なんかよりも、ずっとずっと恐ろしい。

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