2009/3/28 K-1WGP横浜 試合感想

 ども〜。
 当日は従姉妹の結婚式から仕事というハードスケジュール。一回帰宅して、前田VSマヌーフ、サキVSスポーンだけ見てまたお出かけ。帰ってからようやく続き見られましたよ〜。

 人気blogランキング参加しています。
 よろしければ御協力下さい。

▼第1試合 第2代K-1ヘビー級王者決定トーナメント1回戦 3分3R延長1R

メルヴィン・マヌーフ(オランダ/マイクスジム)

VS
前田慶次郎チームドラゴン

 ん〜、マヌーフはカウンターを警戒したか、慎重な立ち上がり。前田も距離を測り、徐々にマヌーフが詰めて行く、というおなじみの展開だったのだが。
 フックが頭に当たり、ややふらついた前田に詰めたマヌーフ、カウンターのストレートを浴びて撃沈〜!
 ありゃりゃ。しかし前田は危ないんじゃないかというぐらいダッキングしてて、にわかフック対策。対するマヌーフもヒザなど突き上げて見せて、意外に小器用なとこを見せたんだが、その慎重さが仇になったかなあ。綺麗に顎の先端を打ち抜かれ、これは立ってられんわ。合わされたフックもいささかコンパクトさに欠け、どうもあまり出来は良くなかった感じだなあ。
 前田の最後のストレートも、完璧に狙って打ったというよりは、うまくいい位置に当たった感じだろう。ただ、ラッキーパンチではなく、幸運ではあってもやはり練習を重ねた上で呼び込まれた一撃であったことに間違いはあるまい。


▼第2試合 第2代K-1ヘビー級王者決定トーナメント1回戦 3分3R延長1R

タイロン・スポーンスリナム/ブラックレーベルファイトクラブF.F.C.)

VS
グーカン・サキ(トルコ/チームレベル) 



 プレッシャーをかけるスポーン、下がるサキ。サキのローを寸前でかわすスポーンの制空権維持がすげえ。しかし、スポーンのヒザもいつものごとくグッサグッサとは刺さらんではないか。スポーンが圧してるのは間違いないんだが、下がってもスタイルを維持できるのがサキ。ぎりぎりの間合いの取り合いが3ラウンド続き、そのまま延長へ。余力があるのはスポーンか……。
 しかし……あれっ!? 延長ラウンドに撃沈したのはスポーン! カウンターの右がズバリ当たってしまった。スポーンの右は頭下げてかわされ……うーん、残念。新星はインパクトを残せず。しかしながら、ちょっとまだK-1スタイルとは言えなかったなあ。あまりにも技術戦やりすぎというか……。打ち合って先に一発ビッグヒットを当てれば1ポイント取れる採点の中、いささかテクニカル、ディフェンシブ過ぎた感じ。


▼第3試合 K-1ルール 3分3R延長2R
セーム・シュルト(オランダ/正道会館/K-1スーパーヘビー級王者)

VS

ヘスディ・カラケス(エジプト/パンクレイション/チャクリキ)



 倒れない〜! カラケスはほぼ何も出来なかったんだけど、しかしさらに速度を増したレンガジャブに対して踏みとどまってみせたタフネスがすげえ。次はグラウベあたりとやらせてみれば。
 シュルトさんは相変わらず無敵だな……。インファイトのテクニックもちょい上がってる感じ出し、これはもう去年のアーツでも厳しいんじゃないか? WGPに出したらまた優勝されてしまいますが……。


▼第4試合 K-1ルール 3分3R延長2R

ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner X tream Team)

VS
エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館



 やっべ、右ミドル速い! ちょっとまたパンチが短くなった感じだが、かつての石井館長の「空手家はもっと蹴ってくべきなんですよ」という言葉を思い出したなあ。強烈なミドルがバンナの左腕を攻める。が、右ストレートからの右ミドルのコンビネーションは、距離が短すぎて当たらず。ん〜、ここはローの方が良かったと思うが、空手には腿に落とすローはなかったっけ?
 バンナはちょっと蹴られ過ぎで、手が少ない。しかし、テイシェイラも2ラウンド以降、蹴りの数も減ったし、パンチで詰める場面もなく、いささか慎重すぎたかなあ。延長まで行かずとも攻勢をもぎ取れそうな場面はあっただけに、歯痒かった。まあ経験不足か……。
 延長を制したのはテイシェイラ。きわどい勝負で、なかなか面白かったが、まだまだテイシェイラが上に行くには時間がかかりそうだ。


▼第5試合 K-1ルール 3分3R延長2R
澤屋敷純一チームドラゴン

VS
グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館)



 澤屋敷、表情険しいなあ……。気合い入ってるのか、テンパッてるのか……?
 蹴りの距離に留まるのは危険と、打ち合いに出る澤屋敷。出入りを激しくし、いい角度からフックを当て込んで行く。ローまでつなげるコンビネーションが、結構当たってるな。しかし、グラウベももらってるなりに対応し始め、きっちり顎も引いてダメージを感じさせない。澤屋敷は蹴りは上手く外してるんだが、応酬の中、左ジャブの直撃を受けよろめく。運動量が落ちたところに、さらに左でダウン。
 ん〜、やっぱり打たれ弱くなってるよなあ。空手家の突きで、なおかつグラウベなんだから、それは大した威力なんだろうが、そうは言っても左ジャブ。これで完全に効かされて倒されてしまうようでは……。さらに右フックでダウン。そして次のラウンド、またもカウンターで左ジャブを浴び、辛うじて立ち上がったところでタオル投入。序盤に多用していたステップがダウンで鈍り、最後はほぼ正面から入ってしまった。
 ん〜、タオル投入は実に正しい判断としか言いようがない。で、当人は引退を示唆。ここまで5連敗で、4つKO負け。いったい何回ダウンしてるんだ、という感じで、しかも全部効いたダウン。せっかくのヘビー級戦線にもまったく絡めず、体格差のあるパワーに圧される展開が続いている。引退とは言わずとも、しばらく休養しなければ本当に危ないだろう。ジャパンGPに出ても、野田あたりにさえ捕まりそうだ。


▼第6試合 K-1ルール 3分3R延長2R
ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)

VS
エロール・ジマーマンキュラソー島/ゴールデングローリージム)

 ええ……なに、このアーツの絞れようは……? ちょっと引いたわ……(笑)。おまけに動く動く。太ってるのに微妙に距離を調整するあの動きが好きだったのだが、この日は速い速い。もらってるのに全然運動量落ちないし、動きも良くてジマーマンの打撃も良く見えてる。飛び蹴りも全部先に反応してたし……。特に呼吸を外してガード解くとこは鳥肌もの。いや、確かにこの一瞬は絶対パンチ来ない、という間合いで腕下げてるんだが、自ら誘ってそのタイミングを作っているようにさえ見える。これが……キャリアか……。クリーンヒットによるダメージではややジマーマンかと思った本戦だが、延長ではローを効かせ優勢に。スリップが危なかったが、判定勝利。
 アーツ恐るべし。これは、開幕戦はアリスター戦でどうですか(笑)。ジマーマンも、もっと失速するかと思ったが根性見せた。これだけ強打当ててるのに凌がれたら、心折れそうなもんだが……。次はバンナとかとも見たいな。


▼セミファイナル 第2代K-1ヘビー級王者決定トーナメント決勝戦 3分3R延長2R

前田

VS

サキ

 ん〜、サキ、やっぱちょっとスタミナきついかな〜。対する前田は元気だ……。これは……まさか……。前田はインロー、サキも痛いはずの足でローで応戦。お互いカウンターは空を切らせ、ジリジリするような技術戦が続く。んあ〜地味だが面白いよ。まあこれを見たけりゃMAXを見るよ、という説もあるのだが……。
 お互いちょっとずつ失速していくが、やや有利なのはやはり前田。ロープに詰めてブロックさせてのワンツースリーフォー、全部ストレート系! え、えげつない……ガード破れんのはわかってて、カウンターを打たせず攻勢点だけ取ろうという攻めか……。さすがのサキもブロックするしかない。しかし前田も崩れないなあ。カウンターのフックかわしたぎりぎりの場面とか、バランス崩したらローのフォローをもらってたろうが、常にステップし続ける。
 延長にもつれこむも、この攻めを維持した前田が僅差で振り切って勝利! いや……正直、素晴らしい内容とは言い切れないが、それでもマヌーフとサキを退けての戴冠、層が薄いとはいえ、ヘビー級のトップまで上がって来たのは間違いない。歴史は、動いた……! 今日の堅実な攻めが、フックとアッパーで真っ向勝負をかけた澤屋敷と明暗をわけたのは、皮肉なものだな……。
 やっぱりトーナメントの綾で優勝した感は否めない。おととしみたいに次の大会と2回に分けたら良かったんだろうが、それをやらなかったのは結局、大会の予定が立っていないか、予定は立ってるけどテレビ放送の予定がない(王者誕生の瞬間が放送されない)からだろう。おそらく放送されるであろうジャパンGPまで引っ張ると、前田が予選に出られなくなる。色んな思惑が絡んだ苦肉の策だったんだろうが、こんなことやってるうちはまだまだだねえ。


▼メインイベント K-1ルール 3分3R延長2R
レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム・ボンヤスキー)

VS
アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデングローリージム)



 あれ……ローが出ないぞ……。
 開始早々、いきなり飛びヒザを狙うなど、アリスターはイケイケモードが続いている。いやな予感が当たり、迎撃するレミーはプレッシャーに圧され、ローまでつなげられない。コンビネーションが出ず、組まれて押される展開から、強引にパンチをねじ込まれる。ブロックしているし、綺麗な打撃は全然もらっていないのだが、2ラウンド辺りから失速。投げ倒される場面も増える。後頭部打たないようにレフェリーのフォローが入る場面も増える。こりゃだめだ、2ラウンドは取られたかな、とも思ったが、イーブン。これはややひいきだな(笑)。
 しかしレミーは全然動けてない。アリスターはスタミナ切れを起こすかと思っていたのだが、ここまで自分のペースで悠々と進めてれば、まったく疲れないんじゃないか? 組み際のパンチでレミーがぐらつき始めたのを見れば、なおさらだろう。
 こりゃだめだ、まだバダ・ハリの方が一発当たれば、可能性があったんじゃないか……と思いはじめ、敗色濃厚の3ラウンド終盤。入って来たアリスターに最後の切り札、打ち下ろしの右直撃〜! で、出た! 2004年ボタ戦、2006年レコ戦、敗色濃厚な展開をひっくり返したレミー・ボンヤスキーの「いつもの魔法」である。彼はアクターなんかじゃない! マジシャンだ……! 強運というかなんというか、彼を3度の王者に導いたのもこれなんだよな。どんな時でも最後に帳尻を合わせ、全てを消し去る魔法の力!
 あとは必死で逃げ切り、オスカー像を突っ返して得意満面のレミー! 正直ギリギリだったが、この不思議な不思議な魔法を打ち破れるのは、この世にシュルトさんしかいないんだよ!

 試合後インタビューで膝痛めてたのを告白。ん〜、結局、主催者はアリスターが勝ったところでなにも困らんのだから、結果論で考えないなら逃げたと言われても辞退すべきだったと思うが(そこでバダ・ハリが名乗り出ると……(笑))。しかしそれでも勝つのがレミー・ボンヤスキーなのだ! 
 が、しかし蹴りが使えないと、ここまで苦戦するのか。策としては、下がって下がって蹴りまくる作戦が使えない時点で、組まれたら圧力負けする展開は予想しとかんといかんなあ。そう考えると、今回のレミーが本来とるべき作戦は……最初から打ち合う! これだったんだな。ゴン格でも「ヨーイドンで打ち合えば互角」と言ってるじゃないか。「互角」なんだから勝負すれば良かったんだよ。ハリとはガードのテクニックも違うし、あの見づらい打ち下ろしパンチで勝負すれば、逆にアリスターが面食らった可能性もある。実際、そんなにパンチが速いわけでも巧いわけでもないんだし、結果だけ見れば打たれ強さもなかった。最初からパンチで打ち合ってれば良かったのに。それが出来なかったのは、気持ちでも押されていたということだ。
 ……こう考えると、ほんとにレミーはよく勝ったものだ。ただ、それでも勝つのがマジシャンだ!

 しかしアリスターは惜しかった。総合に戻ると言ってるし、今回も実質勝ちに近い内容、K-1挑戦では充分過ぎる活躍をしたんだから、本人としても本業に専念したいところか。でも、せっかくだから開幕戦、アーツ戦とかどうですか。

 めちゃめちゃ面白かったわけじゃないけど、それなりに今後につながる展開もあり、見所もあった大会でした。
 はよ次の日程も発表してくれ。

 人気blogランキング参加しています。
 よろしければ御協力下さい。