『シャッフル』
サンドラ・ブロック主演のサスペンス映画。
ある朝、事故による夫の訃報を聞いた妻。しかし、悲しみにくれ、翌朝目覚めた時、夫は何事もなかったかのように家にいた。
これは現実? それとも夢? やがて彼女は、自分がその一週間を、シャッフルされたかのようなバラバラの順番で生きていることに気づく……。
観客の視点だけがバラバラの曜日を追っているのではなく、主人公自らが木→月→土という風に流れている時間を体験しているところがミソ。本来、土曜日でなければ知り得なかった情報を予め得ていることで、月曜日にアクションを起こしたりする。
かなり練り込んであるシナリオで、『バンテージ・ポイント』なんかよりは遥かに出来がよいのだが、本来の日→月と流れている時間ではどういう事態になっていたか、というのが示されないため、単に不可思議な構成という域を出ていない。
神経を患っているのかと疑わせるようなサンドラ・ブロックの演技は見事だが、記憶の混乱を匂わせる事なく、「愛」や「信仰」など聞こえのいい言葉で片付ける展開には疑問が残る。
まあつまらないこともないが、惜しい。