『エグザイル ー絆ー』

 マフィアのボスによって下された、裏切り者の抹殺指令。かつて親友であったその裏切り者の最後の願いを叶えるべく、4人の男たちは彼と共に危険な暗殺の仕事を請け負う。ボスへの忠誠と友情の板挟みの中、男たちはいかに生きるのか……。


 ひっさびさのジョニー・トー監督作品。
 好きだ好きだと言いながら、DVDスルーとあまりに短期間で終わったものは見てなかったので、本当にひさしぶり。


 『ザ・ミッション 非情の掟』とほぼ同じキャストで、同じようなキャラクター。近年ハリウッド映画にも進出しているアンソニー・ウォン、おなじみのフランシス・ン、ラム・シューなど、ジョニー・トー映画の常連がズラリ。


 他に能もなかったため黒社会に属し、その社会に忠誠を誓いながらも、それ以前から続いて来た友情を捨てられない。不器用故に、拳どころか弾丸でしか語れない男たち。無駄なスタイリッシュさと笑うのは容易く、もちろんそういった突っ込みを入れながら見るのもありなのだが、その部分はあくまでファッション。その根底にある主人公たちの信念に胸を打たれる。自分たちと離れて家族を作る事を選んだ男のために、何の得にもならない戦いに挑む姿が美しい。


 語らずとも通じ合う……と言うよりは、そういった台詞回しを排した演出なのだが、幾度も共演した俳優陣の阿吽の呼吸がそれを実現させる。
 過去作品以上のインパクトかというとそうではないが、同水準の傑作。