堕天使は砂塵にまみれ 5/22




 いや〜5月ももう終わりですね。そんなわけで、ひさびさの旅行に行ってきました。

 今回の行く先は鳥取である。実は北海道に行こうと思ってたのだが、こないだのテレビとDVDレコーダーで、ちょっと金欠気味なのである。
 そういうわけで、もともと行き当たりばったりだった計画だけに、あっさりと変更になってしまったのだった。
 梅田から特急に乗り、目指すは鳥取。旅行と言うとまいどまいど、ストレスと疲れでフラフラになった状態で行っていたものだが、どういうわけかこの春は快調。さしたる煮詰まりも感じないままの旅立ちと相成った。
 だが、そうやって余裕こいてると思わぬ邪魔でストレスがたまるのが世の常……。IPODを耳に突き刺し、限界まで倒したシートで一眠り、うとうととしかけた矢先に、ポケットで蠢く無気味な振動!
 おいおい、誰? ぼかあ旅先っすよ!? 時刻は12時30分頃。こんな時間に電話とはいったい……? 履歴を見たらば……会社だよ! よりによって一番かけてほしくないところからかかってきたではないか。もし、映写班の誰かがぶっ倒れたとか、そういう話だったらどうしようね。次の駅でとんぼ返りとかね。あと、何か致命的なミスを犯して出てきたということがなかったろうか? まさかねえ。
 で、イヤイヤかけ直してみたら、

T係長
「あ、ルシフ君? Oさんがかけたみたいやから、ちょっと替わるわ」

 うーん、どうも大した用事じゃなさそうですね〜。オレ、電車なんですけど〜。

O課長
「あ〜ごめんごめん。実はな、ちょっと調べものしたいから、パソコン貸してもらわれへんか思って」

 かつてパソコンの台数があまりに足らず仕事にならなかった時期、オレは私物のノートを持ち込み、今現在も使い続けているのである。おいおい、パソコンのパソはパーソナルのパソですよ? と思いつつも、

オレ
「はあ、いいっすよ。電源入れてゲストでログインしてもらって……」

O課長
「あ、なんかログインの仕方がややこしいんかな」

オレ
「いや、べつに……」

O課長
「あ〜、じゃ、ええわええわ。いま電車なんやろ? ごめんな、じゃあまた」

 ふー、まあしょうもない用事で良かったと言えば良かった。つーか、会社のパソコン使って下さいよ。
 目が覚めてしまったので、あとは読書。福井晴敏の「OP.ローズダスト」上巻。やはり旅先ではこういう大ボリュームの本を読むに限るよ。普段、電車とかで読んでるとついつい先の展開ばかり気になってあせって読みがちなのだが、そこは旅効果。人体が爆弾で粉々にされる細かい描写とかも、リラックスして味わって読めるのである。

 駅に着いたらまずはコインロッカーに荷物を放り込み、バスに乗って鳥取砂丘へ。着いただけで初日を潰す普段のずぼら旅行からすると考えられない行動だが、明日は雨らしいので、今日行っておかねばまずいのである。
 30分もかからずにあっさりついてしまった。うーん、拍子抜けだ。階段をわっせわっせとのぼると……おおおおおおお! すげえ! 見渡す限り砂! うーん、なんたる迫力だ。遥か彼方の丘に人が登っているが、あまりに砂、砂、砂でまったく距離感がつかめない。えーい、オレも行くぞ! 凄まじい横風に煽られながら、必死に進むのだが、足が砂に取られてなかなか前進できない。登り坂も急で、と、遠い。いつになったらてっぺんにつくのだ? はあはあ言いながら丘の上にたどり着くと、おお、向こう側は崖だ。後ろから凄まじい追い風が来て、うかつに端の方へ行ったら転げ落ちそうである。砂埃とその向こうにけぶる海を堪能し、さて戻ろうか……と思ったのだが、風が強すぎて戻れん! 砂の粒が顔に刺さって痛い! いやあ、えらい目にあったね。
 さて、やっとのことで入り口の所までもどったのだが、乗ってみたかったラクダが悪天候のために出てきておらず。うーん、砂嵐のせいですか。しかし馬車なんかは普通に馬が引いてたりして、ラクダが引っ込む意味がわからんよ。
 売店でソフトクリームなんか買って舐めたりして、無駄遣いも全開。バスに乗って駅前に戻り、予約しておいたホテルに移動。
 ……なんか変なホテルだったのだが、これに関しては次回。

 砂丘の写真とか取ったので、知り合いにメールで送ったりする。これは昨年はなかったニュー携帯のおかげですな。しかしちょこちょことやり取りしてる内に、一人とちょっと真面目な話になってしまい……気が付いたら1時間半も経っていた。あ〜いかんいかん、会社からの電話といい、俗世間から逃避してリフレッシュするという旅行の趣旨から、微妙にずれてしまっているね。ま、今回はそれだけ余裕があるということなのだが……。

 一区切りついたところで、晩飯を食いに出かける。寂れた商店街の食堂兼居酒屋に入り、まずはあさりバターをつつきながらビール。仕事の疲れが残っているのにうろうろして、結構疲労していたのだが、ビールを飲んだら俄然、気分が良くなってきた。わはははは、いや、愉快愉快。旅先で一人で飲むビールは最高です。で、あと焼き鳥とおろしトンカツ定食を頼む。えらく大量の食料だが、ビールもう一杯でこれで2200円である。やはり物価自体安いよ。
 がっつり食ったところで、コンビニで水を買ってホテルに戻る。「OP.ローズダスト」上巻を読み終わったら12時。「起こさないで下さい」の札をぶら下げて、そそくさと眠りについたのであった。