ルシフ様の対決映画ベスト10
ワッシュさんの春のベスト10企画に参加します。
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今回はタイトルに対決しちゃう両者の名前が入っていないといかんそうで、なかなか難しい。どんな素晴らしいファイトシーンがあっても選べなかったりするわけですからね。
1.『ドラゴン×マッハ!』
現在の香港映画でも至高のファイトが展開される最新作を一位に! 公開当時、ドラゴン=ウー・ジン、マッハ=トニー・ジャーというあまりに安直なタイトルの付け方に辟易としましたが、おかげで選べるんだから何が幸いするかわかったもんじゃありません。まあメインはこの二人の対決じゃなくてマックス・チャンとの二対一のバトルなんですがね!
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2.『フレディVSジェイソン』
オリジナルにリスペクトを捧げつつなぜかカンフー要素まで詰め込んだ、VSものの金字塔。対決の華はステゴロ対決だが、フレディは生身でも強かった……。
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3.『ガメラ3 イリス覚醒』
玄武対朱雀、人間との絡み、京都駅で対峙する絵面など、2大怪獣の対決の構図にとことんこだわったところがいいですね。
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4.『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』
格闘ゲームオマージュということで、対決対決の連べ打ちで構成。その中でキャラクターの成長を描く王道展開。
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5.『サイボーグ009VSデビルマン』
往年の東映対決路線へのオマージュ。近年の009映画化の中では一番面白かったから……。
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6.『ゴジラ対メカゴジラ』
7.『ゴジラVSメカゴジラ』
8.『ゴジラ×メカゴジラ』
こうして並べてみると、永遠に続く己が銀色の影との戦いが、一大叙事詩のように見えてこないでもない。他に二本もあるしな……。ハリウッドでもシン・ゴジラQでもいいから、メカゴジラまた出して欲しいな!
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9.『霊幻道士3 キョンシーの七不思議』
霊幻道士VSキョンシー! 『コイサンマン キョンシーアフリカへ行く』と5分ぐらい悩みましたが、やっぱり本家本元をチョイス。
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10.『ツイン・ドラゴン』
「ドラゴン」という呼称の一体誰なの感を便利に感じつつ、ジャッキーVSジャッキーなこれをラストに。まあ共闘の要素の方が強いですが気にしない!
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カーペンター監督作がジャケット変えて再発。
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”今日は素敵なバレンタイン!”『52Hz,I LOVE YOU』
『52Hz, I LOVE YOU』 予告編 Trailer
大阪アジアン映画祭2017、四本目!
花屋を経営する小心は花束を届けながら運命の出会いを待ち受け、パティシエの小安は叶わぬ恋を抱きながらスイーツを作り続けていた。バレンタインデーにそれぞれ配達に出かけた二人は、最悪の出会いをするのだが……?
『セデック・バレ』のウェイ・ダーションの最新作。あの大作に続き『KANO』も製作して、ちょっと疲れてしまった……ということで撮ったということらしい。まあ小品という意味合いで受け取って構わないと思うが、非常にシンプルな代物。メインの四人のキャストは全員役者ではなくミュージシャンだそうである。確かに、言われてみればそれぞれ雰囲気はあるものの演技力にはばらつきがある感じで、何かしらオーバーアクトね。
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バレンタイン当日、四人の男女の恋模様を描くという単純なプロットなのだが、いや……これ、30分ぐらいで済みそうな話なんだよな。でも、場面が変わるたびに延々と歌い踊り続けるのでつらい! いやまあ、ミュージカルってこういうものだよね……ということだが、あまり事前情報入れてなかったせいでミュージカルとそもそも知らなかったので、速攻で帰りたくなったよ。
で、単純な話であること自体はいいとしても、長期にわたる恋愛関係で起きたすれ違いが、楽曲と踊りのムード頼みでなんとなくうやむやになる、という、展開とさえ言い難い展開がクライマックスを締めるのにはいささか呆然となってしまった。これは明日また揉めるんじゃないの……?と心配になってしまう。
全登場人物が、恋愛したくてたまらない、結婚したくて焦っているという恋愛体質映画で、そこに異論が挟まれる余地もない。まあこういう価値観を共有できないと話にならんわな……。
楽曲はまあ良かったし、サブキャラで登場するLGBTのカップルは非常にスマートで、台湾のほんわかした雰囲気も含めていいところもあるのだが、なかなかつらいものがあったでござるよ。やっぱりウェイ・ダーションは気合い入れて神経すり減らして殺伐たる超大作を撮り続けてほしいな……。
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”俺に弾は当たらない”『マグニフィセント・セブン』
『荒野の七人』リメイク!
悪党ボーグの脅威にさらされるローズ・クリークの街。教会さえも燃やされた中、夫を殺されたエマは、街を守るために七人のアウトローたちを雇うのだが……。
『七人の侍』は見たけど、如何せん20年ぐらい前の話だから忘れたな……。ピーター・サースガート演じる悪党に目をつけられて大ピンチになっている村を、デンゼル以下七人のガンマン(弓を持ってる人もいるが……)が迎え撃つ、というお話。
最近、話題沸騰中?のヘイリー・ベネットが無法者によって夫を殺され、事態の発起人として村の代表者としてガンマンたちを集める。まずはリーダー格のデンゼル・ワシントンから……なんだが、同じアントワン・フークア監督の映画では二面性のある不穏な役をやってた彼が、どうも今回は単にカッコいいだけの役をやりたかったのか、時々ある底の浅いヒーローデンゼルそのもの。この時代に黒人がガンマンやってる、ということの危険さなど、キャラに意味付けも相応にあろうはずなのだが、そこをいつものデンゼル力というスターオーラだけで乗り切っているため、単に空虚にしか見えない。
で、またデンゼルには弾が一切当たらないんだよな。後半は死者も出るんだが、デンゼルは物理法則の歪んだ空間に生きてるように見え、かすりもしない。いや、『イコライザー』でさえ、それなりにピンチに陥る展開はあったと思うんだが……。
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また演出がいちいちもったいつけて見えるせいで、この後のクリス・プラットのカードのシーンなども、「キャラ付け」のためにやってるわざとらしい演技に見えてきてつらいのだ……。
この後もイーサン・ホーク、イ・ビョンホン、ヴィンセント・ドノフリオら、「個性豊かなキャスト」が「タイプキャストの定番芸」をダラダラ演り続け、予想されるキャラの役割を一つも超えてこない。
モブキャラと、七人プラスヘイリーちゃんの色分けがきっちりされすぎで、映画内でもなんとなく弾が当たるゾーンとそうでないゾーンがあるように見えてきて、どんどん退屈してくる。撮り方にもメインキャストへの思い入れは感じるわけだが、逆に大仰に演出過剰に見える。
どうもフークワは『サウスポー』にこれとハズレが続いているな。かつての『トレーニング・デイ』も友人が「ブラックムービーの真似しただけ」と散々こきおろしていたが、今作もそういうことなのかもしれないね。
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公開時の感想。
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”レコードを聴いてみて”『29+1』
大阪アジアン映画祭2017、三本目!
30歳を目前にしたクリスティ。仕事では突然の抜擢に苦しみ、長年の付き合いの彼氏とは噛み合わず……。父の死やアパートの退去が重なって苦しんでいたところ、家主の親戚のパリ旅行の間に部屋を間借りすることになる。部屋の主ジョイスの残したビデオレターを見るうちに、同い年ながら正反対の人生を送っているジョイスに、クリスティは不思議と共鳴して行く……。
一昨年『点対点』という映画があり、香港を美しく撮っているのであろうが、どうにもムード依存が過ぎて辛く、絶賛評を他所に辟易してしまったことがありました。今作はその『点対点』枠とちょっと共通する部分がありつつも、トリッキーな構成が光る一本。
原作は一人で複数のキャラクターを演ずる一人芝居なのだが、その主演をした演出兼女優の人が自ら監督し、一人芝居じゃなく複数の役者をきっちり当てはめて映画化した、ということ。なるほど、後から知って振り返れば、二人の主要人物のモノローグ中心の構成にその形が見える。肉付けの仕方が上手くて、大きくふくらませつつもスマートに仕上げている印象。
前半、仕事に疲れ、恋人との仲にも迷いを抱える女の、三十歳を目前にした苦悩を描き、世間の目に追い詰められ疲弊して行く様を見せる。後半は、ひょんなことから彼女と全く違う人生を送っている女性との交わらないはずの交錯を経て、自分を見つめ直して行くという話。
前半の主人公が、美人なのにすでにもうアンチエイジングに追い回されて疲弊しているのに対し、後半の主人公は太ったメガネ女なのだがコンプレックスに陥らず自由に生きている……とまあ、ビジュアルからして対極的な配置になっていて、「喪女の方が人生の真理を知っている」という乱暴な括りができてしまう。このあたりは元が一人芝居で同一人物が演じ分けで区別してるんだから、ここまでわかりやすくしなくても良かったんじゃないの、という気がしたな。
主人公たちが30歳直前ということで、その世代向けの話なのかと思いきや、作中の時代設定は90年代。当時に30歳を迎えた世代、ということで、現在は40代になっている人が、どストライクのゾーンということになる。作中で小道具として度々登場するウォン・カーウァイ、レスリー・チャン……彼らの映画に熱狂した世代への賛歌なんですね。
オシャレの代名詞としてウォン・カーウァイをそのまま映画の中に出してくるセンス、憧れの場所がパリだったりと、少々拒否反応を覚えてしまうところもあって、個人的には好きではないが、まあなかなかいい映画ではあると思う。ハマる人はハマりそうだな……と思ってたら、今映画祭でも観客賞を受賞したそうで、それも納得でありました。
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”時の向こう側から”『ロボット・ソリ』
『ロボット・ソリ / SORI: VOICE FROM THE HEART』 予告編 Trailer
大阪アジアン映画祭2017、2本目!
宇宙から飛来した衛星ロボットを拾ったヘグァン。世界中の音声を記録しているロボットは、ヘグァンの娘の音声データも持っていた。娘は十年も前から行方不明で、ヘグァンは必死に行方を探し続けていた。「ソリ」と名付けたロボットを使って娘を探そうとするヘグァンだが、機密を守ろうとするNSAが迫る……。
今回鑑賞した唯一の韓国映画になりました。NASAの人工衛星に搭載されたAIが自ら意志を持ち、軍事監視衛星の仕事を捨てて地球に降下する。衛星の外部に付いているユニットなのだが、ビジュアルが完全にXウイングから頭を生やしたR2D2なんだが……。
行方不明になった娘を探して孤島にやってきた父親が、墜落現場に居合わせ「彼女」を発見。そのまま持ち帰ってしまう。このロボ、韓国中の通信を録音しているという代物で、『スノーデン』にも暴露されたアウトな奴。NASAとNSAもこれはまずいと回収にくるのだが、親父はこれを使って、娘の最近の声が拾われていないか探し始める。
娘が行方不明になったあらましは最初は語られないので、親父の方もなにがしかの成算があって探しているのかとぼんやり思っていたのだが、映画が進むにつれてもはや目がないことが明らかになってくる。テクニカルな娘探し部分はことごとく空振りに終わるのだが、重要なのは「現実」を受け入れられない親父自身の問題であり、彼自身が内心に抱えた罪の意識である。かつて、娘の夢を肯定できずに叱り飛ばして拒絶し、直後に地下鉄事故が起きたというその事実が、十年経っても受け入れられない。ロボットと共に新たな旅を続ける過程で、やっとそれに向き合い、また自ら「ソリ」と呼ぶようになったロボが、娘の現し身のように思えてくる………。
丁寧に作られて手堅くまとまった映画で、韓国映画におけるいい顔したおっさんが娘探しに奔走する姿は悲しくもコミカルだし、若干のワールドワイドさも微笑ましい。クライマックスの埠頭は『ベテラン』でも使ってたとこじゃなかろうか……?
本国ではパンダの映画に押されて興収は振るわなかったそうだが、まあ確かに良作ではあるものの、インパクトには欠けるかもしれないな。しかし、まったくジャンルは違うんだけれど、実際にあった地下鉄火災事件をモデルにしてると言われると、行方不明の女を探す姿が自然と『チェイサー』あたりもかぶってきたりして不穏な気分にさせられるのだねえ。韓国映画というだけで街のルックが似てるから……。